残念なことに海に囲まれているのに魚貝類に興味のない英国。フランスなんて秋、冬なるとブラッセリーの店先では、新鮮な貝類が並び、ついついその誘惑に勝てずふらっとレストランに入ってしまうのに。
さすがに貝などは店先には並んでいないが、フランスの心意気が感じられるレストランがロンドンにもあった。ロンドンの南、ケニントン(Kennington)にあるロブスターポットは、魚貝類のおいしい季節を充分に堪能させてくれるレストランだ。店内には、あちらこちらに船の小道具が飾り付けられ、音響効果のカモメの声といい、まるで船に乗っているような気分になれる。オーナーはフランス人で、バターやパンもフランス産と凝っている。
ここの楽しみは何といっても魚貝類が沢山載ったシーフード・プラッター。我々は2人分を頼んだが、牡蠣やエビ、蟹などがプラッターに載って運ばれた時は、そのボリュームにワッーと歓声をあげたほど(Le plateau de fruits de mer £22.50)。ロブスターもエキストラで追加できる(1/2で£10増し)。その日の仕入れでプラッターの内容は多少違う。秋・冬によくある細長いロックオイスターは、プリッとして弾力といい日本の牡蠣によく似た味わいがうれしい。エビは、大きくてボリーム満点。蟹も1匹あるので、足から味噌迄食べると誰もが無口になるのは、よくある光景だな。 Winkleという小さなつぶ貝や小さなエビも味わいがあり、白ワインがますます進むなぁー。ハウスワインは、ムスカデなので充分いける。お勧めだ。
スターターのプラッターでかなりお腹がいっぱいだ。我々はすでに3コース21.50を頼んでしまったので、ちょっと反省。メインまで食べるなら、3、4人ぐらいで2人前のプラッターをシェアーするのが賢いな。
3コースのスターターはフィッシュスープ。通常かなりシック(重い)スープがでてくるが、ここは軽め。そこにパンとディップ(マヨネーズ、ガーリック、カイエンペッパー)を塗り、チーズをかけたものを浸して食べると、結構リッチなスープに変わる。なるほど。
メインは、この日はシーバス。大きめな半身のシーバスをグリル。うーん。フレッシュ。ココナッツソースをベースにしたタイ風味のソースが付いていたが、もっとシンプルでもいいかもしれないなぁ。付け合わせの野菜は、綺麗にレイアウトされていて細かい配慮に感激。
デザートは、カスタードをクレープで巻き、その表面をクレームビューレのようにカリカリに焼いている。ソースは、オレンジ&パションフルーツとラズベリーで、魚料理の後にはこの程度のさっぱりとしたデザートがなんとも相性がいい。
ノーザンラインの南、ケニントン駅から徒歩5分。北にお住まいの方にはやや不便に思うが、このシーフード・プラッターは試す価値はあるだろう。(か)
2006年11月取材
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