ロンドンのソーホに気が利いてうまいレストランがあると聞いて出かけることにした。繁華街のソーホだが、中華料理以外のレストランが少ないので、今回訪れるArbutus (アーブタス) がフレンチ系料理ときき益々興味津々。
土曜日の夜のせいかレストランは混んでいる。まずは、飲み物からオーダーしようとメニューを見ると、通常グラスで頼めるワインは、低価格帯しか用意されていないが、ここではほとんどのワインがグラスやハーフボトルサイズで頼めるという、うれしいサービスがある。
さっそく料理もオーダーをしよう。スターターには、魚のバーガー(Squid & mackerel burger £9.90)と薫製うなぎ(Smoked eel £9.95)を注文。バーガーは、フィッシュケーキとよく似ている。ちょっと塩気が強いのが気になったが、付け合わせのサラダに暖かいものと冷たいものを合わせた盛りつけに感心した。
連れのスモークされたうなぎは、「うまい!!」の一言。しょっぱくもなく、丁度よい加減でスモークされたうなぎが、なんとも上品。付け合わせのホースラディッシュにクリームが入った組み合わせもなかなか評価は高い。
メインには、 たらとマテ貝 (Cornish Pollock with razor clams £14.50)とラムの胸肉 (Slow cooked breast Lamb £14.95) を注文。たらとマテ貝 は、ブロッコリーでつくられた緑のピューレがアクセントとなり、バランスのよい綺麗な盛りつけでやってきた。魚は弾力がありおいしいく、 塩加減もちょうどいい。付け合わせの豆の中に入ったマテ貝も鮮度がよく2つの魚貝類を食べているのでなんだかうれしいなぁ。
連れが頼んだラムは、 Slow cookedとあったので、シチューみたいなものだろうと想像していたら、まったく別のものがでてきて驚いた。 骨付きのラム肉をどうやら長時間かけて柔らかくしてから、最後に表面をカリカリに焼き仕上げているようだ。そのため肉は柔らかく、カリカリ感とソフトな食感のコントラストがいい。付け合わせのsweetbreads(膵臓)は、内蔵の割に臭みもなく、2つの味を楽しめてお得な感じだ。
さて、デザートだが、スターターやメインに比べて、定番の名前がメニューに並んでいる。どうしても最後まで挑戦したいのであえて選んでみたのは、梨とアーモンドのタルト(Warm pear and almond tart £5.95)とパンナコッタ(Panna cotta £5.95)。梨のタルトは、なんていっても大きい。キャラメルのソースがついているが、この甘いソースと食べるのが結構いける。さらに付いているクリームには、ピスタチオやピンクのチョコレートがトッピングされ、なんとも愛らしいデザートだ。一方のパンナコッタ、とても上品でなめらか。どうも秘密はローズウォーターを使っているようだ。バラの香りがこの上品さを醸し出しているのだろう。付け合わせのイチジクのソースも相性がよく、こんな美しいパンナコッタは初めて食べた。定番メニューも馬鹿にできないなーと反省。
スターターからデザートまでの細かい工夫がされ、共感できるレストランだな。
決して値段は安くはないが、オリジナリティー溢れる料理を提供するレストランとしてちょっと特別な時には、また行ってみたい。
(か)
2006年10月取材
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