ロンドンにある多くのメキシコ料理レストランは、アメリカナイズされたもので本場の料理とはやや違うらしい。メキシコでは、トルティアの皮で肉や魚、野菜を捲いたり、揚げたり、ソースをかけてオーブンで焼いたりと我々の知らないいくつもの料理法があるようだ。ウォーレンストリートからカムデン方向に歩いて5分の『Mestizo』は、約80種類のテキーラ、石鍋料理など本格的なメキシコ料理が食べられるレストラン。グランドフロアーがレストランで、地下がバー。こんな場所なのに?というほどいつも込んでいるのは、本格的な料理とともにテキーラ好きの英国人のせいだろうか?
店内は、赤と黒で統一され、天井が高いので落ち着ける。奥に光りを上手く利用したバーカウンターが綺麗。やはり、始めはテキーラに挑戦。9月のお薦めカクテルから選んだのは Bandio £5.75。出て来たのを見て驚いた。カクテルというので、ミックスしてでてくると思っていたら、小さなグラスが3つきた。つまり自分の口でミックスするというわけだ。なるほど。テキーラ、レモンジュースとタバスコみたいなスパイスの効いたトマトジュースを交互に飲んだり、2つ一緒にのんだりといろいろ試した。うーん。なかなかイケる。この飲み方、結構気に入ったな。 テキーラcosco は、ソルティーな味で、ストレートでもいい感じだけど、こうしたカクテルがお薦かな?。テキーラは、酔いやすいのでくれぐれも飲み過ぎに注意しなければ、、、。
さて、さて酔う前に注文だ。
スターターには、色々入ったMixed Antojitos Platta £6.20を選んだ。チーズの揚げ物、古代の料理のポレンタの蒸し物、ペッパーのチーズ揚げ、チキンをトルティアで捲いて揚げたもの。このミックス、すべて暖かくてちょっぴりピリピリしていて、スターターにはなかなかよい選択。特にチキンの揚げ物は、スパイシーでおいしい。我々は4人だが、3人前で充分だった。
周りをみていると、気になる料理がある。大きなトレーに沢山の小鉢がのっている。タコトレイ(Taco Tray £12/1人分 但し2人以上で注文)といい、トルティアの皮に自分流に中味を入れて捲くものらしい。選んだ中味4種類、サルサ、サワークリーム、チリ、黒豆などのトッピングが8種類、計12個の小鉢が出て来た。インパクトのある料理でワクワクするご機嫌な一品となった。我々が選んだ4種類は、ベジタリアン用、チキン、豚、ラムだが、ラムは冷めてくると臭みがでるので、食べ慣れない人は頼まない方が無難かも。トルティアの皮が足りなくなったら、追加もできる。2人分を我々は4人でシェアーした。
友人達は、ここの定番の石焼鍋(Locuras de la Cocina £9.50〜12.80 /1人分 但し2人以上で注文)を選んだ。メインになる物とソースを1つずつ選ぶ。チーズやチョリソ、アボガドなどと一緒になった石鍋が運ばれて来た。これもトルティアの皮で捲いて食べる。暖かい料理でチーズが溶け、ソースとからまり、なかなかリッチだが、チリなどを加えて自分流に食べられるのでこれもお薦め料理。ソースにモレ(mole)というチョコレートベースのソースがある。チリ、ナッツ類、トマトなどが入る。古代アステックの人々も愛用していたソースで、メキシコではクリスマスにターキーにつけて食べるという。チョコレートというが、甘さはなく素朴な味わい。その他めずらしいのに、ぬるぬるしたサボテンのサラダもある。
デザートに頼んだPastel de Queso y Coco £3.60は、チーズケーキにココナッツが入ったもの。ソースは、マンゴやメロンが入ったとても自然なソースで、さっぱりとしながらも味わいのあるチーズケーキで気に入った。
どうもスタッフが慣れていないようで、料理がでるまでに時間がかかり、スムーズでないサービスが気になるが、オリジナルいっぱいの料理を食べさせてくれるので寛大になってしまう。ともかく混んでいるので、予約は必須。(か)
(2006年9月取材)
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