 ハマースミスのキングストリート沿いには、何件ものインディアンレストランが軒を並べている。そんな中で、行列ができる程人気のあるインディアン料理のレストランがある、と友人からの情報。しかも、昼食時には、カレーのお弁当が購入できるとのこと。お弁当文化に慣れ親しんでいる私には嬉しい情報だ。早速訪れてみることにした。
インディアンレストランにしては、シンプルな造りの店構え。その前に立ってビックリ。
看板には“ベジタリアン・レストラン”とある。何とも女性の関心を引く文字だ。
店の扉を開けるなり、店員が紳士的に席へと案内してくれた。そして、私がメニューに一通り目を通し終わった頃を見計らって、料理の説明を始めた。実にいいタイミングの応対だ。メイン料理でも、一品£5.00前後で決して高くはない。一番のお勧め料理を注文するのも良いが、料理好きな私としては一度に何種類もの味を試して参考にしたい。すると、店員はランチセットメニュー（Lunch Special£4.95）があると勧めてくれた。決めた！それにしよう。
ランチスペシャルはスターター、メインそしてデザートの３コース。インディアン料理の始まりは何といってもパッパダム（Pappadam）。パリパリとした白いおせんべいのようなスナックだ。これをチャツネと一緒に頂いた。マンゴ、リンゴ、レモンそして、ヨーグルトにミントとコリアンダーが入った四種のチャツネ。中でもレモンのチャツネが珍しかったので真っ先に試食してみた。想像していた酸味よりも皮の苦味が強くて期待した程のものではなくて残念。でも嬉しいことにスターターにはもう一皿、スペシャル・ウプマ（Special Upma）とオブァジン・バージー（Aubergine Bhajia）そしてグリーン・チャツネの盛り合わせが出された。ウプマは、小麦をクリーム状にしてナッツ、カレーリーブやスパイスと一緒に調理したもの。塩味も程よく、小麦のモチモチ感がたまらない。それが、後からやって来るスパイスの味をうまく包み込み後を引く味だ。もう一つのバージーはインド風揚げパン。中にオブァジンというナスを入れて油で揚げたもの。揚げパンとはいえ、全く油っこくない。二個出されたが、もっとお代わりをしたい心境だ。
そして、いよいよ待ち兼ねたカレーがテーブルに。ベジタブル・クルマ(Vegetable Kurma)、ポテトカレー、アロー・ゴービ(Aloo Ghobi)とサンバー(Sambar)の四種類。どれから箸ならずスプーンを付けようか？私の空腹感はそんな考える時間を与えてはくれない。早く！といわんばかりにグーッとお腹が鳴った。じゃ、端から・・・。マイルドなソースに野菜たっぷりのベジタブル・クルマは一般的な味。次のポテトカレーは水気がなく、カレー味のマッシュポテトといった感じ。でも、スパイスの組み合わせが上手なのか、ポテトとタマネギの良い風味が生きていて美味しい。次のカレーにいく前に、ライタ(Raitha)で味覚を整えた。ヨーグルトにキューリと人参が入ったサラダだが・・・「あら、ヨーグルト？確かここはベジタリアンの店よね？」と疑問が頭をよぎった。そこで店員に尋ねると、この店はビーガン（乳製品も摂取しないベジタリアン）ではない、とのこと。これで納得。そして、三番目のアロー・ゴービ。あ！これはいける。いちばん日本人の味覚に合った味だ。最後のサンバーは赤唐辛子が入ったスープのようなカレー。マサラ・ドサ(Masala Dosa薄焼きパン)を浸して食べるのが良く合う。
デザートはグロブ・ジャムン(Gulab Jammun)。甘〜いシロップに入った揚げパンだ。一口食べてみたが、満腹状態には少し重た過ぎる。マイソー(Mysore£1.75インディアン・カプチーノ)だけで充分だな。
南インディアンカレーの特徴は、北部のそれに比べると、スパイシーでドライ。クリーミーなカレー好みのひとには、少し物足りないかも知れない。でも、この店はスパイスと新鮮な野菜の旨味の組み合わせ方が絶妙。これが人気の理由なのだろう。
また、スパイスの発汗作用と野菜の栄養バランスは、体重をコントロールする助けにもなるかも・・・？美味しい料理に健康効果あり、とは願ったり叶ったりの店だ。（茉）
(2006年9月取材)
サラダ二種類付きカレーのお弁当は£3.25 |
