ホテルリッツの隣にある
ボリュームたっぷりのシュクルート
人気のリブステーキ
ワゴンに載ったケーキの一部
オーストリア風のチョコレートケーキ
ポットでサーブされる紅茶
エスプレッソとチョコレートの
MARRICHINO
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フランスには、ブラッセリーと呼ばれる朝から夜迄いつでも食事ができるレストランがある。そのコンセプトを持つレストランがロンドンにもあるので紹介しよう。
グリーンパーク、ホテルリッツの隣にあるThe Wolseleyは、 美しい内装にも定評がある。1921年に車のショールームとして建てられたアールデコスタイル、高い天井、贅沢な天井や壁の飾りと重厚な雰囲気がなんともいえずよい。
ここに来ていつも感じるのは、客のタイプがちょっと他とは違う。家柄の良さそうな娘や息子、そしてママやパパがあちらこちらのテーブルで食事をしている。「ああ、これも英国だなぁ」と興味深い風景だ。昼間はメディア系が好んで集まるとも聞く。それもそのはずで、このレストランはセレブ系をターゲットにするIVYを立ち上げた人がオーナーと聞けば納得する。
このレストランは、ミシェラン星を狙うタイプの店ではなく、定番料理をいつもおいしく食べさせる事にあるようだ。だから、メニューも取り立てて新しさはなく、頼んでみないとわからないようなワクワクするものはない。英国スタイルの朝食、オムレツ、冬には牡蠣などの貝類、魚、ステーキ、ハンバーガーなどヨーロッパ、とくにフランスのブラッセリーにあるメニューと同じだ。便利な点は、ついうっかりお昼を取るのが遅くれても、また好きな時間にいつでも暖かい食事やお茶ができる事。
さっそくランチを注文だ。本日のランチ(£15.50)もあるが、私は大好きなアルザンス風シュクルート(Choucyoute Ganniea L'Alsacienne £14.50)、連れは、リブステーキ(Rib Steak £17.50)を注文。サワークラウトと茹でたソーセージのシュクルートは、こんなに誰が食べるのかと思うほどのキャベツと茹でたドイツ風ソーセージの盛り合わせ。ソーゼージの美味しさが期待を裏切らずにおいしい。1人では多すぎる量だ。ステーキは、どこのテーブルでも誰かがオーダーしている程人気の料理。網で焼いたのだろうか、焦げ目が香ばしくうまい。肉も柔らかく、歯ごたえもよく、味もよい。付け合わせはフレンチフライにグリーンサラダとシンプルなもの。どちらも安心して食べられる味、質の良さがいいな。
ケーキスタンドに入ったケーキに引かれ、デザートと紅茶を注文。ケーキは、 奇抜さがないが、手を抜かず作られている感じがいいな。(ケーキは£4.25)隣のテーブルが頼んだホットチョコレートは、溶かしたチョコレートと暖かいミルクがでてきて、自分で混ぜ合わせる。これは、インスタントを使用していないということと、ある程度素材に自信がなければ出せないはずだ。頼んだダージリン(£2.75)は、リーフティを使用してポットででてくる本格派。味には、特別感動はなかったが、ティーパックを使用して同じ金額を請求されるより、気持ちがいい。
ナプキンは、麻、カトラリーはシルバープレートとオーソドックスで品のよいテーブルセッテイング。しつけられたウェイターたちは、特に愛想を降まくスタンドプレーはなく、グラスに水やワインがなくなればただちに注いでくれるし、静かにやるべき事をしている。値段もそれなりの価格だが、いつでも混んでいるのは、客が気持ちよく過ごせるポイントをしっかり抑えているからだろうな。
料理とサービスを常に一定の基準を守ることで、客に信頼と安心感を与え、期待を裏切らないレストランとして定評があるのだろう。(2006年4月) |