Vol.48  <番外編>パリ-その2

一つ星でちょっぴり変わった料理を出す
「Le Passiflore(ラ・パッシフロール)」


特別なイルミネーションが行われている
エッフェル塔


レストランの外観

色の奇麗なロブスターのカプチーノ風

ホタテのソテーと黒リゾット


弾力のあるチキンのソテー

香草のアイスクリーム

チョコレートフォンダン

中を開けて緑のソースがでてきた

4種類のプティフール
   パリで30年のキャリアを持ち、ちょっと実験的な料理を出すレストランとして定評のあるLe Passifloreへ行ってみた。シェフのローランド・デユラン氏(Loland Durand)は、98年のワールドカップでは、23,000人のランチをこなすほど地元では有名シェフ。予約はもちろんだが、当日の5時までに再度予約の確認電話を入れないと席の保証はない程、人気店のようだ。 レストランは、エッフェル塔の全景がよく見えるTrocadero駅より歩いて数分のところにある。8時の予約で来たが、店内はまだ空いている。スペインほどではないが、パリの夕食ものんびりしているようだ。そのせいか、シェフ自ら挨拶に来て、オーダーを取っている。その後、だんだんに入ってきた客を見ていると、大半は常連客のようだ。

  さて、メニューには、セットメニュー(3コース38ユーロ、3コース+チーズ54ユーロ)と単品もあるが、セットメニューがお得だ。連れは、コースのメニューに含まれているチーズに引かれ54ユーロのセットを注文。私は、単品にしてスターター(Entrees)には、フォアグラのラビオリ(Ravioles de foie gras 25 ユーロ)を注文した。
  注文が終わると、アミューズ・ブーシュが来た。これは、前の軽い突き出しのことで、口を楽しませるという意味だそうだ。
  チーズ味のシュー、タマネギの天ぷら風、そしてチーズスティックとすべてが小さく可愛らしい。ちょぴり塩気のあるつまみとして、食前にはピッタリの突き出しだ。そして、次のでてきたのは、冷たいヴィシソワーズ(シャガイモの冷製ポタージュ)。味はもちろんだが、さらに感心させられたのはその適度な冷たさだ。寒い外界から暖かいレストランに入ってきた客に、冷蔵庫からだしたばかりの冷たいスープでは、冷たさが浮き出てしまい、美味しさを感じさせる事は出来ないだろう。サーブされたスープは、ほどよく冷たい。寒い冬なのに嫌な感じがせず、気持ちのよい冷たさだ。この加減が何とも言えず気が利いていて、これから出される料理に期待が膨らむな。

  香りのよいスターター、ラビオリが来た。香りの正体はトリフのオイルで、口に入れるとパァーと広がる味と香りが何とも言えずうまい!!。フォアグラを包んだラビオリは、なんと品よく出来上がっているのだろうか。さすがだ、このリッチな組み合わせにも関わらず、重くならず最後まで奇麗に平らげた。
  一方、コースのスターターはロブスターのカプチーノ風。ちょっぴり泡立てたロブスターベースのスープに、ホタテのムースが浮かんでいる。淡白なホタテは、ムース仕立てにするとこんなに美味しいのかと思った。ロブスターでピンク色になったスープとの色合いもよく、ご機嫌のスターターだ。

  メイン(Poissons)は、ホタテのソテーと黒リゾット(Riznoir et Saint Jacques en Satay Cirton 40ユーロ)を注文。セットメニューは、チキンのソテーだ。
  グリルされた肉厚のホタテは、ラングスティン・ベースのソースと絡ませて食べるとよくあう。弾力のある黒いご飯は餅米のようで、ちょっとかわったティストに仕上っている。よく見るとライムの葉が、千切り混ぜてあり、独特な味を作り上げている。白いホタテに、ピンクのラングスティン、そして黒いご飯という強烈な色のコンビネーションが奇麗で美しい。
  チキンは、骨付きのモモ肉で歯ごたえのある素材でよい鶏だ。食感として面白いのは、下にひかれた牛蒡。味は軽くつけられている。もう一つの付け合わせ、マッシュルームは、ちょっと濃いめに味付けされている。このコントラストも計算されているんだろうな。平凡になりがちなチキンソテーにインパクトを与えているようだ。
  セットメーニューには、このあとチーズが出される。オベール地方のチーズで、コショウ入りカマンベール風、ブルーチーズ、マイルドなソフトチーズ3点セットだ。結構リッチなので、もちろんシェアーしていただいた。


  さて、やっとたどり着いたデザート(Desserts)だ。変わっていると評判の4つのシャーベット(Quatre Sorbets 12ユーロ)を注文した。驚いたのは、色だ。出てきたシャーベットが全て緑だ。微妙に色の違うグラデーションになっているが、ちょっぴり不気味。食べてみると、甘くなく口の中をスッキリと綺麗にしてくれる清涼感がある。聞けばこのシャーベット、タイバジル、ミント、ベトナムクーンなどの香草からできているそうだ。なんだか身体が浄化されているみたいで、健康的なシャーベットだ。これこそデザートという感じでいいなー。
  セットメニューには、チョコレートフォンダンとチョコアイス。黒い2つのデザートが、並ぶとちょっと重たいな。そう思いながら、暖かいチョコレートフォンダンを開けるとビックリした。いつもなら黒いチョコレートソースが中からでてくるのだが、緑のソースが入っていた。まいったな、この演出。でも、この最後の驚き、なかなかよかった。そして、コーヒーとだされたプティフールは、ゼリー、メレンゲなどの小さいお菓子が4つもだされたが、別腹にしっかり収めた。フー、満腹だ!!

  スタッフは、フレンドリーで、英語もまったく問題ない。シェフは、現在オリエンタルなエッセンスを料理に取り入れているそうだ。ちょっと変わった料理に挑戦したい方、ぜひトライしてみて。
  そして、帰り道には回り道をして、エッフェル塔を眺めるのも今の季節なら悪くない。夜の8:00、9:00などなどの丁度の時間になると、特別なイルミネーションが見られるそうだ。時間があえばラッキー。

Le Passiflore
33 rue de Longchamp 75116 Paris

TEL: 33 (0) 1 47 04 96 81
http://www.restaurantpassiflore.com/
営業時間:
火〜金曜日  12:00-14:00,19:30-22:30
土曜日      19:00-22:30
定休日:日曜日

1人の予算:80ユーロ(約£56)
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