フランスとドイツの境、アルザス地方と呼ばれる地域で3つ星を持つシェフ、アントウァン・ウエスターが、パリに田舎料理のレストランを出し好評と聞き訪れた。場所は、セーヌに浮かぶ高級住宅地サンルイ島で、小さい個性的な店が並ぶ可愛らしい街だ。
30人も入るといっぱいになる小さなレストランだが、天井の高さを生かし、深い緑色のカーテンと壁の白さ、黒く塗られた木目、落ち着いた照明と洗練された内装で狭苦しさは感じない。中央にあるテーブルには、花の代わりに高さ1mはあるガラスの器に、秋冬の食材を意識しているのだろう、小さなカボチャが色とりどりたっぷりと入れられている。スタッフは、英語もokでフランス語を話せなくても暖かくフレンドリーに接してくれる。(英語のメニューもあり!!)
昼は、日替わりの定食が15ユーロ(約£10.30)とアラカルト、夜は3コースのセットで39ユーロ(なんと約£27だ!!)だけとシンプルなメニュー。
さっそく、注文だ。スターターには、テリーヌとチキン&レントルを頼んだ。一般的にややこってりとして重くながちなテリーヌだが、ここのは薄味なのにしっかりと味がある軽いテリーヌで驚きだ。外側のパイ生地がちょっぴり甘さが加わって,いい感じ。洗練された味だなぁ。
チキン&レントルは、複雑な味付けのレントルが後を惹くおいしさ。チキンは、ちょっぴり照り焼き風な感じに仕上がっている。残念なのは、ソティーしたチキンが少しさめているかなぁ。
メインの肉類は、冬の季節においしい鴨、鹿、豚があり、ポットやキャセロールに入ってでてくるので、客の目を引く。これは、田舎風を演出しているのだろうな。
さて、メニューで惹かれたのは、“豚づくし”だ。豚のバラ肉、もも肉、生ハムと、いろいろな種類の人参とほうれん草が入った料理。サーブされたのは、シチューというより、それぞれ火を通しあたと、蜂蜜、レーズンで調理されたもの。この甘さが豚にあう。なんといっても豚がうまい!!肉に弾力があって、固くなく、味わいもある。こんなに豚が美味しいかったかと思うほどだ。隣の紳士がうらやましそうに我々の“豚づくし”を見ている。多分、このメニューが、2人用なので1人で注文できないからだろう。魚料理もあるが、この店ではだんぜん肉料理がおすすめのようだ。
デザートは、日本でいうラム酒の効いたサバラン(Baba au Rhumババという可愛らしい名前)とコーヒーゼリーのアイス付きを注文。サバランは、クリームの上に乗ったナッツが気が利いている。ラムがたっぷりと効き過ぎていて最後まで食べきれなかった。残念。コーヒーゼリーとアイスは、アイスにエスプレッソを掛けてあり、いい具合に溶けている。下にひかれた苦めのコーヒーゼリーと一緒に食べるとこれまたうまい!!
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