スーパーマーケットですべての買い物を済ましてしまうのが、便利なこの国。すっかり習慣化してしてしまい、スーパーは安いと思いがちだが、生鮮食品はローカルの店が安くて新鮮という場合もある。
最近は、肉は肉屋で、魚は魚屋で購入しようという運動も盛んになってきている。販売するのはプロだ。適切な調理法を教えてくれたり、いろんな注文にも応えてくれる。例えば、魚なら3枚におろしてくれるし、イカなんて皮も剥いてくれる。肉だって、フィレをひき肉にしてほしい。なんていう注文も可能だ。
そんな中、お洒落なマーリボンのハイストリート近くにある「The Ginger Pig」は、自らのオーガニック農場を持ち、店構えがちょっと変わった肉屋だ。
店には、商品が入っているショーケースがほとんどない。正面には大きなブッチャー用のテーブルが並び、その上に肉の大きなかたまりが載っていたり、時には豚の頭も置いてある。見渡すと販売している商品が壁に書かれている。
欲しい肉を注文すると後ろの冷蔵庫から出したり、大きなブロックから切り分けたりして、商品を用意してくれる。見ていると、ひき肉もその場で作るようだ。気のせいか肉の色が、自然な赤に見えるのは偏見かな?
奥には、自家製のパテやパイ、ソーセージ、ベーコンもあり、土曜日などは朝からポッシュな人たちで賑わっている。購入したチキン&タラゴン・パイ(1つ£5)は、市販のものより、色、味とも手作り感と自家製のよさがよくでている。一般的に塩加減がきつくなりがちだが、とてもあっさりとして美味しかった。
この店のオーナーTimothy Wilson氏は、肉屋を持つなんて夢にも思ていなかった。たまたま飼った豚の縁で、気がついたらその地域ではちょっと名のある肉屋になっていた。転機が訪れたのは、初期のバラマーケット出店に誘われてから。3日間分として用意したソーセージが1日目の2時ですべて売り切れたそうだ。すぐに追加をしたが、それも同じように売れてしまったとか。バラマーケットがレギュラーに開催されて以来、お客も増え、有名なレストランにも卸すようになり、ついにロンドンで店をオープンした。
そんな彼の唯一の楽しみは、ヨークシャーにある農場とロンドンを最高時速218マイルを出す愛車ポルシェで往復することとか。そんな一風変わった肉屋を一度訪れて、おいしい肉を購入してみては? |