なんと6人が、一晩で1500 ポンド!!を食事&ワインにつぎ込んだ。誰もがこんな金額になるとは,想像していなかった。しかし、ひと月たった今でも、誰も後悔していない。トリフの魅力を知ったし、おいしいワインに出会えた。いいワインは、二日酔いしない事も体験した。新鮮な食材でつくられるのはもちろん全体のトーンを考えた料理+気持ちのこもったサービス+適度によいワイン+遊び心+料理を楽しめる気持ちが勢揃いするとなんと贅沢な晩餐になるとつくづく感じた。
7時からスタートしたこの宴は、終わったのはなんと1時!!。ともかくレストランのスタッフを含む皆との会話、笑い、よく飲み、よく食べるという楽しい時間を過ごした。忘れることができない夜となったのは言う迄もない。今回はこの6時間の内容をお伝えしよう。
元プロサッカー選手からミシェラン星を持つ異色のシェフ、ゴードン・ラムジー。彼の完璧を求めるが故に、厳しくきつい毒舌を吐くのがおもしろがられ、テレビを始め多くのメディアで活躍している英国の有名シェフ。現在は木曜日チャンネル4で8時から『The F Word』というタイトルで 放映中(このFは、彼の口癖F××Kの頭文字をとったのは周知の事実)。現在7店のレストランをもち、東京を始め、ニューヨークへと世界中に支店を広げビジネスを拡大しているようだ。
その彼が持つレストランの中には、シェフズテーブルと呼ばれるスペースがある。それは、レストランのキッチン内に客用のテーブルと椅子を置き、台所の臨場感を体験しながら、食事を楽しむという趣向。一日に昼、夜とも各1組しか予約できないうえ、シェフから料理の説明をされ、キッチンツアーがあり、また専用のお世話係がつきっきりでサービスをしてくれるという、なかり特別なテーブルだ。運が良ければラムジーにお目にかかることもあるらしい。
このシェフズテーブルに誕生日プレゼントとしてガールフレンドを連れていきたいと言い出した義弟。それもラムジーのレストランのなかでも、品格のあるクラリッジホテルにあるGordon Ramsay at Claridge'sにだ。しかし、ウェルカムシャンパン+カナッペと6コース料理で、なんとなんとテーブルに 750ポンドチャージされるとか。そこには6人まで座れる。とても自分達だけでは、支払えないということで私を含む4人が誘われた。あくまでも750ポンドは、料理だけの料金だ。これに飲み物やサービスが加算されたら・・・金額は想像したくない。そんな躊躇を読まれたのか、アルコール代は自分が負担するので一緒に行こうという。一度は行ってみたかったラムジーのレストラン、それにあのラムジーに会えるかもしれない。それも普通のレストラン内ではなく、特別のシェフズテーブルにいけるのだ。こんな機会もめったにないだろうと、値段のことは考えず行く事を決心た。
アールデコのデザインで有名なクラリッッジ・ホテル内にあるレストランは、クラッシックでありながら、現代的なデザインを品よく上手に取り入れた内装だ。まずは、他のお客様と同じラウンジでシャンペン(Jacquesson Grand Cru Avize Blank de Blanc 1996)と軽いつまみがだされた。軽いといっても、フォアグラやキャビアがはいった豪華なディップ4種類とカナッペ、小さなフィッシュケーキにチキンと量がある。高級な食材をディップにしてしまうのも、さすがミシェランシェフ、ラムジーならではなのだろうか。どこまでもクリーミーでリッチなディップについつい夢中になり食べ過ぎてしまう。口当たりのよいシャンパンもあり、スターターとしてとして申し分ない。これからの料理への期待がますます高まるなぁ。
ここで、ウエイターが「本日は、私が皆様のサービスをするウイリアムです」と自己紹介。そう、彼がこれから6時間!、我々の面倒をみてくれる。「さあ、そろそろ移動しますか?」との声に一同、デコラティブな照明のあるレストランを通り抜けキッチンへと進む。キッチンに入ると特別に設けられたスペースがあり、大理石のテーブルと皮張りの椅子が備えられている。厨房が丸見えのそのテーブルには、深紅のバラが活けられ、ワイングラスが並び、しっかりとテーブルセッティングがされている。これからだされる料理はお任せで、全5コース、チーズとデザート2品の計8品。念のため、食事で嫌いなものがあるかだけ聞かれた。
さあ、これからがシェフズテーブルのディナーの始まりだ!!
(来週に続く) |