噂どおりにFryer's Delightは、次から次へとタクシードライバーが立ち寄る店だ。高めのカウンター、動かないテーブルと椅子、テキパキと客をさばくなど、昔からある典型的なスタイルのフィシュ&チップスレストラン。人気の秘密は、油にあるという。多くのレストランが、植物油を使用しているが、ここではヘッドといわれる牛の脂を使用している。日本でも肉屋のコロッケは、ラードを使用して揚げられるのでコクがあり妙においしかった思いでがある。そんな期待を胸に、さっそく注文だ。
何といってもコッドは、人気品なので作りおきの場合が多い。回転のいい店なら冷めていないが、嫌な思いをしたくないのでいつもハドックやプレースを注文することにしている。私は、今回もハドック&チップス(Fillet of Haddock & chips £5.70)を、連れはコッド&チップス(Fillet of Haddock & chips £6.00)とを注文。ハドックは、ジュウジュウという音を立てて出された。やはり注文が入ってから揚げている証拠だ。口に入れるとかなり熱い。連れのコッドはアツアツだが、今揚げた感じではないようだ。
どちらも見慣れている普段のフィシュ&チップスより色目が濃い。きつね色というより、茶色だ。味も濃厚でこってりとしている。決め手の魚はフレッシュなものを使用しているようだ。味わいがあっておいしいが、さすがに半分ぐらい食べると胃が重くなる。英国北部の一部では、フィシュ&チップスの油は、ヘッドを使用するとか。この店は、その地方に住んでいた人々にとって、貴重な味を提供しているらしい。北部出身の連れは、「おいしい。おいしい。」といって、すべて平らげているでないか。私は、残念だか少し残してしまった。
ホルボーン(Holbor)という街中にありながら、紅茶60ペンス、コーラ70ペンス、バター付きロールパン40ペンスとこの価格は何ともうれしい。このような個性のある店がだんだん姿を消し、チェーン化された店になってくる昨今だが、切れ目なくやってくるタクシードライバーや地元の人たちがいれば、この店もまだまだ大丈夫だろう。
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