ミシュラン星を持つGalvin兄弟シェフが2009年11月にオープンした「Galvin La Chapelle」を訪れた。
まずは、食前酒を飲みながらゆったりとメニューを眺める。途中、ソムリエが料理に対するおすすめワインを説明しにやってきてくれた。薦められるままに、白ワインと魚介で前菜をまとめ、メインは重めの赤ワインと肉料理にすることに決めた。
「Lasagne of Dorset crab(ドーセット蟹のラザニア)」(£12.50)は、スターターながらも存在感抜群。ジロール茸を使った濃厚なクリームソースが、繊細な蟹の風味を損なうことなく、鮮やかに引き立てている。「Pressed young leeks & Langoustines(若ポロネギと手長エビ)」(£14.50)は、シャキシャキとした若ポロネギがヴィネグレットソースの酸味と相まって、さっぱり新鮮な味わい。手長エビが主張しすぎず、控えめに風味をプラスしているのも良い。双方ともに、「もうちょっと欲しい・・・」と思わせる絶妙な加減である。
メインは、ウェイターが間違えた品を持ってくるハプニングもあったが、待ち時間も長過ぎず、丁度良いタイミングでサーブされた。連れの頼んだ「Roast breast of corn-fed Goosnargh duck(グースナロー鴨胸肉のロースト)」(£24.50)は、ミディアムレアというより、レアに近かったが、鴨の力強い風味に負けることなく、ブラックカラントのソースがよく合っている。決してさっぱりとは言い難いが、フルーティーな後味でぺろりと平らげてしまえそうだ。「Slow cooked veal cheeks(子牛の頬肉の煮込み)」(£19.50)は、ナイフで触るとほろりと崩れてしまうほど柔らかく煮込まれた頬肉が、酸味のあるマデイラソース(赤ワインソース)に絡まり、まさに“とろける”程のおいしさ。添えられたハムがまた違った旨味を足しており、しっかりと重厚な一皿。
ここで、先ほどオーダーを間違えたウェイターが、謝罪の意味を込めて「Cheese board(チーズの盛り合せ)」をサービスで提供してくれるとのことで、ありがたくいただくことにした。しかし、甘いものを食べたいので「Souffle of apricot(アプリコットスフレ)」(£9.00)もオーダー。チーズは20種以上ある中から、好みを伝えれば、最適なものを切り分けてくれる。フランス産チーズがほとんどだが、ぜひとも英国産ロックフォールは試していただきたい。スフレは、口にいれた途端消えてなくなってしまうほど軽やかな食感。爽やかな酸味と甘みに加え、添えられたダークチョコレートのアイスクリームがアクセントとなって、完成度の高いデザートとなっている。
「Galvin La Chapelle」はスピタルフィールドの真横に位置しているにも関わらず、かなり落ち着いた雰囲気で静かに食事が出来る。今回はアラカルトからのチョイスでワイン込み1人あたり£80強と高めだが、セットメニューは£30〜とリーズナブル。テーブル数はあまり多くないので、予約をしてから訪れた方がよさそうだ。ドレスコードはスマートカジュアル。特別な記念日やロマンチックなデートに最適なレストランと言えるだろう。
(ゆき)
2010年8月取材 |