英国のユーロスター発着駅になった St Pancras stationの駅構内がどんどん開発されている。話題になったシャンペンバーの次に出来たのが、9月上旬にできたブリティシュレストランの「St Pancras Grand」。ここは、シャンペンバー同様、英国のコンサートホールや美術館などにあるレストランを多く手がけている会社が運営。しかし、今回は新聞で活躍しているレストラン評論家のアドバイスを得て、いつもとは違ったスタイルに仕上げたという。評判もよいのでさっそく行ってみた。
高い天井、古き良き時代のアールデコスタイルで統一されて高級感が漂う。白いテーブルクロスがよく生え、この感じ、パリのブラッセルとも似ているかも?
メニューを見ると、こだわって伝統的な英国の料理が多い。スターターには、生ガキ、スモークサーモン、そしてキャビアまである。メインには、フィッシュ&チップスからステーキまで。
さっそく注文しよう。スターターで目についたこの季節にピッタリのオイスターをオーダー。牡蠣は、英国、アイルランドの 4 種類あり、この中からどれでも好きな物を選べるというので、日本の牡蠣に似ているMaldon Rocks とCambra を3個ずつオーダーした。(6個で£9.50)
始めて食べるCambra。生ガキのスルッとした食感のあと、一口噛むと、うーーん。なんてリッチでジューシーな牡蠣だろう。うまい!!。 これはスコットランド西側が産地。次に食べたいつも好物、ロックオイスターは、これに比べると潮の香りがするあっさりとした感じ。私は、すっかり Cambraのファンになってしまった。この牡蠣に出会えただけでもよかったなぁ。
さて、メインコースには私はフィッシュ・パイ(Fish Pie £11.75)、連れは豚バラの煮込みを頼んだ。プレゼンテーションがいい。期待が高まって一口入れたが、うん?塩気が多い?? 連れにも味わってもらったが、やはりちょっと塩加減が強い。そして、期待していたフィッシュ・パイは、すべてがマッシュポテトでできており、中身の魚の量も少なく、ちょっとがっかりだ。通常、マッシュポテトの下は、魚いっぱいのクリーミーで暖かい料理なのに。そして、塩気の多さも重なって最後迄食べられなかった。ああ、残念。
一方連れの 豚バラの煮込み(Belly of pork £15.50) は、柔らかい豚肉に出来上がっている。付け合わせのマッシュポテトの上にはカリカリに焼かれた豚の脂が載り、アクセントとして組み合せがうまい一品。
メインが中途半端で終わったので、デザートも試してみたい。私は名前が面白いEton mess(£6.50)、連れはカスタードタルト(Custard tart £6.50)を注文。
Eton messは、かの有名なイートン校でだされるデザートで、言葉のとおりmess(
滅茶苦茶)な食べ物らしい。名前の由来は、車に積んであったデザートの上に犬が座ってしまいケーキが崩れ、滅茶苦茶なデザートになったらしい。多分、その味がおいしかったのだろういまでもデザートとして残っているようだ。たしかに出て来たEton messは、メレンゲが粉々に砕かれ、クリームとラズベリーと一緒にミックスされているもので、決してデザートの美しさはない。しかし、これが見た目よりうまい。メレンゲの程よいサクッとした口当たりに、クリームとラズベリーの甘さのマッチング。食べやすくてペロリと食べてしまった。ここでは、高級感を演出するためにラズベリーを使用しているが、一般的にはイチゴを使うそうだ。
カスタードタルトは、滑らかで程よい甘さ。付けあわせのバタースコッチ ソースとの相性も抜群で、デザートはどちらも満足。
スタッフは、フレンドリーでなかなか感じがいいし、ワインもハーフサイズでも頼める。ただ、メインの食事のポーションがやや小さく、フィッシュ・パイは正直、がっかりした。しかし、オイスターは、フレッシュで品揃えがいい。評価としては難しいが、まだ、稼働したばかりでパーフェクトとは言えないのだろう、今後が楽しみとしておきたい。
2コースでワイン、コーヒーもついたメニュー£18.47がある。ザデートには、我々が食べたカスタードタルトも選択できる。もしかしたら、このコースはかなりお得かもしれない。
朝早くから遅く迄開いているので、パリやベルギーに行く前に、ユーロスターの車両を眺めて、ちょっと贅沢な食事をするのは旅立ちのいいスタートになるだろう。
(か)
2008年10月取材 |