老舗の店は敷居が高いが、伝統的な英国の雰囲気を体験できるので大好きだ。そんな老舗の一つシンプソンズは、創業1828年、サボイホテル・グループのレストランとしてローストビーフで有名だ。ちょっとワクワクしながら、ランチに行ってきた。
想像していた通り、我々が思う英国らしさがここにある。壁は落ち着いた茶色の木のパネル、高い天井、シャンデリア、大きな絵画、シルバー仕上げのカトラリー類、教育されたウェイターたち。客層は「ああ、これぞジェントルマン」と呼びたくなるような人々が、ビジネスランチを楽しんでいる。スノッブな雰囲気がいっぱいだ。こんな場所に慣れない人は、だんだんいごごちが悪くなるのだが、シンプソンズは懐が深い!!ウェイターは、全員とても感じがよく、「記念写真を取りたいなら写すよ」とまで申し出てくれる。このオファーを聞いた瞬間から一気にリラックスでき、快適なランチに突入だ。
また、うれしいことにこの老舗の店では、リーズナブルな価格設定のセットプライス・メニューがある。ランチとプレシアターの時間に利用でき、2コース£17.50、3コース£20.75。ただし、ローストビーフを注文したい場合は、£8がプラスされる。しかし、ここに来たらぜひローストビーフ(Roast
rib of Scotch beef on bone)を食べてほしい。1848年から使用されているシルバーのディナー・トローリーでテーブルまで運ばれ、その場で肉を切り分けてくれる。このサービスは、なんと優雅な気分にさせてくれるのだろう。そして、焼き加減を聞かれ、注文にあった肉の塊を見せてくれる。もし、気に入らなかったら、自分の好みを伝え再度探してもらえる。レアは、本当に生肉に近く、同行した知り合いはたいそうご満悦。たいがい焼き過ぎているローストビーフが多いのに、ここまでレアなのは驚きだ。付け合わせには、お決まりのヨークシャープディング、ローストポテトとキャベツ。肉は、28日間寝かしてあるので全く臭みがなく、柔らかくてうまい。その上、ローストビーフにつけて食べるホースラディッシュが新鮮で感動。
スターターとメインでお腹がいっぱいになり、デザートにたどり着けなかったが、コーヒーに付いてきた小さなお菓子でお口直しができ、心残りはなかった。ふと見ると、隣のテーブルではローストビーフとローストラムをミックスしてサーブしているではないか。メニューにないので聞いてみれば、もちろんそんなリクエストにも応えるという。こんな細かい配慮ができるのが、本当の老舗なのかもしれない。(セットプライス・メニューでも注文可)
味、雰囲気、サービスとすべてに満点がつけられるレストランとして、すっかりファンになってしまった。ビジネスランチに、日本から来た方にお連れすれば、喜ばれること請け合いだ。
予算の目安:1人35ポンド
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