友人が子豚の丸焼きを食べて、美味しかったという言葉に惹かれ、お気に入りのレストラン「St John」で調べたら、なんと1匹320ポンドもする!! 14名から16名の人数が揃えば、懐とお腹に丁度いいという。さっそく人集めだ。食いしん坊は沢山いるが、同じ日にみんなが集まる日の調整はなかなか難しかった。 念願がかない、いざ決行の日となると子豚の怨念か、地下鉄のストライキと重なった。しかし、食いしん坊のみんなは、バスや歩いてレストランに続々集まってきた。感謝。
ワクワクと興奮で集まったみんなは、その子豚は何処にいるか、可愛そうなどと雑談をしていると、テーブルの側を子豚の丸焼きがトレーに乗ってキッチンへ運ばれていった。あれだ!!あれだ!!とみんなの目は釘付け。子豚へ期待は高まるぞー。
予約の段階で、スターターとデザートを先に注文することになっていた。大人数のためか、2種類以内で頼まないとならない。スターターに「骨髄とパセリサラダ」と「イカのサラダ」を。そして、デザートにはシャーベットとチーズを注文。
まずは、スターターが運ばれて来た。 骨髄とパセリサラダ(Roast Bone Marrow & Parsley Salad £6.60)は、この店の名物で、多くのテーブルで注文されている一品だ。まずは形に驚く。太い骨、そのものがドーンと皿に載り、そこに脂が固まったように見える骨髄がある。これをトーストされたパンに塗り、パセリのサラダと塩をかけていただく。想像したより脂っぽさはなく、さっぱりとしている。美味しくいただくポイントは、この骨髄をたっぷりと厚く塗り、塩とパセリを載せる事。自宅ではできないこの料理は、ここにきたら、ぜひ頼みたい料理だ。
もう1つのスターターは、グリルされたイカとたっぷりのフェンネルのサラダ。イカは焼いてあるため香ばしく、そして柔らかい。この2つのスターターの選択で正解だったな。
ワインは、 まろやかな味のハウスワインで充分満足できる。
そこへさっきの子豚が我々のテーブルに運ばれてきた。
別のテーブルで、切り落とされた頭と尻尾に、わっーと言う喚声があがる。 ああ、可愛そう、ちょっと怖い。睫毛があるなどいいながら、誰も食べることを断る者はいなかった。
2つの大きな皿にスタッフィングとともに切り分けられた子豚の肉が、各自の皿に盛りつけられた。この子豚、生後2、3ヶ月のものだそうで、ともかくどこまでも柔からい。その上、豚肉というより、鶏肉のような食感で豚特有の臭みもなく、おいしい!!の一言。詰められていたスタッフィングもよく出来ており、うーん、ここまでアレンジした甲斐がある。幸せだー。
つけ合わせのキャベツは、ゆでてバターとあえているだけと単純な調理法だが、なかなか感心する出来具合。シンプルな物を美味しく食べさせてくれるこの店の特徴がよく出ていた一品。 大皿に盛られた子豚の肉は、いつの間にかきれいになくなっていた。ああ、おいしかった。
さて、デザート。本来は食事のあとの気分で決めるのだが、我々は予約のため、すでにオーダーしてあった。豚なのでさっぱりしたデザートがいいだろうとシャーベットを選んだが 、子豚の味が意外にもさっぱりしていたので、もっと重いデザートでもよかったかなとちょっと反省。もう一つのデザート、チーズはランカシャーチーズにエクルスケーキ(Eccles Cakeレーズンが中に入ったパフペースト)がつき、こちらは味の変化がありよい選択だった。
大人数の集まりなのに、みんなの一体感が持てたのは、子豚のインパクトのおかげかな。特別の時に盛り上がること請け合いの「子豚の宴」は、一度は試してみる価値あり。ただし、 子豚の丸焼き姿に耐えられる人だけかな?(か)
2007年9月取材 |