友人が私の誕生日に連れて行ってくれたレストランがよかったので紹介したい。場所は、トッテナム コート ロード(Tottenham Court Road)の裏、おいしいレストランが並ぶシャーロットストリートにあるモダンフレンチのピアデ テール(Pied a Terre)。入り口があっさりとしているので、見逃してしまいそうな静かなただつまいだ。このレストランは、16年前にスタートし近年不幸にも火事があり、2年前に再開したという。キャリアがありながらも、常に新しい料理をだし、評判がよいので気になっていたそうだ。
小さな店内は、いくつかの部屋に分かれていて、プライベートルームにも仕切れるレイアウトのせいかとても落ち着く。
メニューは、2コースの£49.50か、8コースのテイスティングメニュー£80のみ。我々は、2コースを選んだ。オーダーを聞き終えると出されたのが、アミューズ・ブーシュ(突き出し的な軽い料理)。最後に出されるプティフールとも、きっとシェフは遊び心を発揮し、我々客も余興的な催しを楽しむ瞬間だろう。1つの皿にだされた4つの小さなアミューズ・ブーシュは、魚のムース、サーモンのカリフラワーソースかけ、フォアグラのせんべい、そして1品だけ暖かいリゾットをフライにしたボール。どれもそれぞれ、ああ、もうちょっと食べたいなーと思わせるところが上手な演出だ。
さて、スターターとして頼んだポーチド・フォアグラ(poached Foie Gras £7.50増)とうずらとフォアグラのサンド(Quail and Foie Gras Sandwich)がやってきた。
フォアグラは、予想を反してさっぱりとしていて、ソフトで味わい深い。サーブされた時にかけてくれたスウィートワインがソースとなって、なんとも言えずにうまいの一言。
一方、うずらとフォアグラのサンドは、うずらの中にフォアグラが挟まれたなんとも豪華な組み合わせだ。付け合わせのマスタードがポイントとなり、これもおいしい一品だが、エキストラの金額をだしてもだんぜん、ポーチド・フォアグラがおすすめだ。
マナー違反なのだろうが、我々はお互いの皿を交換して料理の味見をしていた。すると我々のテーブルの担当者が飛んできて、その皿の取り替えを手伝い、さらに「カトラリーを換えますか?」と聞いてきた。すごーい。感動だ。我々は、何十回もレストランでこんなことをしてきたが、こんな気が利く質問をされたのは始めてだ。もう感激で、一気にこのレストランの評価は上がった。
そして、期待のメインコース。私のシーバスのソテー(Pan-Fried Sea Bass)は、素材のよさが全面にでている。弾力があり、口に含むとほんのり塩の香りがする。淡白になりがちな魚に、こってりのエビときつね色に焼いたタマネギがディップとして下に敷いてある。
ディルとホースラディッシュのソースが、食べ方に変化を与えてくれて、よく考えられているなーと関心する一品。ラムは、なんと柔らかくて臭みがないのだろう。こんなラムも始めてだ。
チーズ(£12.50)のトロリーがきた。すべてフランス産で、好きなものを選べる。そして、お口直しには、ミントのフォームとメロンとピスタチオが入ったソルベ。
最後のデザートには、チョコレートタルト(Bitter Sweet Chocolate Tart £12.50)を注文。ケーキはチョコレートフォンダンのように暖かい。付け合わせのギネスのアイスクリームは色、味といい、よい組み合わせだ。ただ、食後に飲み物を頼むなら、正直言ってデザートはいらないかもしれない。飲み物と一緒にだされるプティフールで大満足だから。我々は、チーズも頼んだので、テイスティングメニューのほうがお得だったかもしれない。
客がトイレにたてば、必ず誰かが場所を案内し、使っていたナプキンは奇麗にたたまれ、とても気配りの出来たスタッフがいるので、さらに食事がおいしい。いいレストランに出会えた幸せと居心地のよさで、もうすっかり常連の気分だ。次回は、テイスティングメニューを頼みたいな。(か)
2007年8月取材 |