ヴィクトリア駅近くにとても美味しいと評判のイタリアンレストランがあると聞きつけ、行ってみることにした。
お店はヴィクトリア駅から少し西に入ったところの閑静な場所にある。住所の番地をたどってようやく到着。昼間だから良かったものの、落ち着きのある茶色の外観で看板もなく、夜だと見つけにくそうな所だ。
店内に入り、ウェイターが持ってきたランチメニューを見ていると、マネージャーがやってきた。「どこの出身?」と聞かれたので「日本」と答えると、すかさず「SPAGHETTI ALLA BOTTARGA(スパゲッティ・アラ・ボッタルガ)」を薦めてきた。「これは日本語でいう“karasumi”だよ」という言葉を添えて。このマネージャーは日本ではからすみのパスタが人気で、“karasumi”という言葉を知っていたのだ。早速からすみのスパゲッティとチキンのグリル、ティラミスの3コースセット(£20.50)を注文。ランチにしてはやや高いお値段だ。
午後1時を過ぎたあたりから急にお客さんが増えてきて、こぢんまりとした店内はあっという間に満席に。予約してから訪れる方が無難だろう。平日のお昼ということもあって、スーツを着たお客さんがほとんどだ。男女の比率は6:4で男性の方がやや多く、「中国の市場がどうした」とか、ビジネス・トークで盛り上がっている様子。
いよいよ“からすみのスパゲッティ”が運ばれてきた。黄色いクリーム状のソースを絡めたパスタの表面には、からすみパウダーと、スライス状の小さなからすみがのっている。まず、ひとくち頂いて「これは美味しい!」と感じた。ソースはからすみの味がしっかりと出ていて、こしのある麺とよくマッチしている。サルディニヤ島の伝統パスタでボラのからすみを使用し、マグロのからすみのやや生臭い感じは全くない。メインではないので量が少なく、これをメインとして注文するべきだったとちょっと後悔。
からすみのスパゲッティを食べ終え、待つこと30分。やっとチキンのグリルが運ばれてきた。グリルの焦げ目が少し付き、きれいな色をしたチキンはとても大きくボリュームたっぷり。肉はとても柔らかく、バジルの香りが漂い、こちらもとても美味しい。スパゲッティを食べた後なのに、あっという間に食べ終えてしまった。味、量とともに大満足で、30分待った甲斐があったと言える。チキンをメインに選んだ後悔は消え去ってしまった。
最後にデザートのティラミス。甘いクリームとアルコールをたっぷり含んだスポンジがとてもなめらかで、口当たりが良い。こちらも文句のない味だ。やや値段は高いが、イタリア本場の最高の味が楽しめ、それだけの価値があるレストラン。2店舗あるという姉妹店にも是非訪れてみたい。(千晶)
2007年4月取材 |