Vol.108
〈レシピ編〉


ルバーブ&カスタード
Rhubarb & Custard





日本でも少しずつ知られるようになってきたルバーブ。イギリスではとてもポピュラーな素材で、毎年マーケットで見かけるようになると、春がそこまで来ているなぁと嬉しい気持ちになります。ロシアが原産とされるこの素材、デザートの材料として使われることが多いので果物のように思われていますが、実は野菜の一種です。一見、カラフルなセロリのように見えなくもないですが、味はとても酸味が強く、生食されることはほとんどありません。(ちなみに、葉っぱの部分は毒素を含んでいて食べられませんので、ご注意を!)


「ルバーブ&カスタード」の組み合わせは伝統的なイギリスのレシピで、イギリス人の中には「子供の頃に給食で出てきた、たいして美味しくもない食べ物」といった印象を持っている人も少なくありませんが、独特な酸味が何ともいえず、癖になる美味しさという感じでしょうか。生姜を隠し味として加えたり、苺やオレンジとの相性もなかなかです。酸味の強さから、やはりクリーム系のものと合わせるのが一般的で、クランブルやパイ、タルトなどがおなじみのレシピですが、今回は日本でも人気のデザート、クレームブリュレに加えてみました。砂糖を加えて煮るのが一般的なルバーブの調理法ですが、今回はオーブンでローストしているので水っぽくならず、風味も凝縮されます。


クレームブリュレと言えば、カスタードを低温のオーブンで蒸し焼きにするのが一般的ですが、今回のレシピは、カスタードを少し濃いめに作って、そのまま冷蔵庫で冷やすものです。フランス語のクレーム ブリュレ(Creme Brulee)の名前が最も知られているので、フランスが発祥のデザートのように思われていますが、実はイギリスのバーント クリーム (Burnt Cream)の方がずっと古いという説があります。17世紀にケンブリッジのトリニティカレッジで既に作られており、カレッジの紋章が入った鉄の焼き印で表面の砂糖を焦がしていたそうです。スペインでは同じレシピが、クレマ カタラナ(Crema Catalana)として知られています。

イギリスのマーケットで一般的に手に入るルバーブは屋外で育てられたものですが、これらが出回る前に、Forced Rhubarbと呼ばれる屋内で育てられたルバーブを見かけることがあります。Yorkshireのルバーブトライアングルと呼ばれる地域で育てられているもので、真っ暗な所でロウソクの灯りだけで育てられる、なんともユニークなルバーブです。屋外で育てられたものよりも風味が繊細で、色も上品なピンク色をしています。チャンスがあれば、ぜひお試しを!



  ロースト ルバーブ クレーム ブリュレ Roasted rhubarb creme brulee

(直径約7cm x 高さ約4cmの耐熱皿6-7個分)

ルバーブのロースト
ルバーブ 300g
カスターシュガー/上白糖 40g

クレームブリュレ
卵黄 4個
カスターシュガー/上白糖 70g
生おろし生姜 大さじ1杯 (約15g)
ライムの皮のすりおろし 1/2個分
ダブルクリーム/生クリーム 450ml
バニラビーンズ(さやを縦に割いて種をこそげ取 る)1本

仕上げ用
ライトブラウンシュガー/三温糖 適量

ルバーブのロースト
1 オーブンを200oC(ガスマーク6)に温めておきます。
2 ルバーブは、葉や根元の固い部分を切り落とし、1cm程度のざく切りにします。
3 大きめの耐熱皿に重ならないように入れ、砂糖をまんべんなく振りかけ、よくまぶします。
4 オーブンで15-20分程度(全体が柔らかくなるまで)ローストします。
5 冷めたら 耐熱皿に等量ずつ盛り分けておきます。

クレームブリュレ
6 大きめのボウルに卵黄と砂糖を入れ、白っぽくなるまで泡立て器ですり混ぜ、おろし生姜とライムの皮のすりおろしを混ぜ入れます。
7 生クリームとバニラビーンズ(さやも一緒に)を鍋に入れて沸騰直前まで温め、火から下ろして10分ほどおき、風味を移します。
8 2をもう一度沸騰直前まで温め、バニラのさやを取り除きます。
常にかき混ぜながら、生クリームを卵黄のボールに少しずつ注ぎ入れます 。
9 3を鍋に戻し、弱火にかけます。かき混ぜる手を休めずに、カスタードがとろりとするまで煮詰めます(15-20分程度が目安)粗熱を取り、漉し器で漉しておきます。
10 ルバーブが入った5にカスタードを注ぎ入れます。
11 冷蔵庫で少なくとも8時間、できれば一晩冷やします。

仕上げ
12 11のカスタードの表面にブラウンシュガーを茶漉しで降りかけます(砂糖をフードプロセッサで粉末状にしておくと、まんべんなくきれいに仕上がります)
13 バーナーで砂糖をまんべんなく焦がします(バーナーがなければ、グリル最上段で焦げ目をつけます)いっぺんにたくさんの砂糖を焦がそうとせず、砂糖を極薄く振りかけて手早く焦がすを3度ほど繰り返すときれいにパリッとした仕上がりになります(砂糖大さじ1杯程度が耐熱皿1個分の目安です)焦げ目をつけてすぐにいただくのが一番です。

プチノート
バニラのさやは、きれいに洗って乾かし砂糖(密閉できる容器)の中に加えておくと、砂糖にバニラの香りがほんのり移っていろいろなレシピに使えます。

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