パイ&マッシュは、英国人にとって懐かしいメニューだそうだ。最近はソーセージを加え現代風にする店が多い。この『マザー・マッシュ』は、ロンドンのオックスフォード・ストリート、リバティー裏にオープンした朝から夜迄、昔ながらの食事を現代的にアレンジした店だ。
小さい店をシンプルで気持ちのいいレイアウトにしている。オーダーもシンプル。メニューに書かれているステップに沿って決めていけばいい。まずは、マッシュポテトの種類を選ぶ。ミルクとバター入りのクラッシックスタイルから、チーズ入りやアイリッシュ・スタイルのチャンプマッシュ(Champ Mash)まで。また、中味を自分の好みで選べるDIYマッシュまである。ステップ2は、ソーセージかパイを選ぶ。ソーセージは、フリーレンジを使った豚肉を使用し地域名がついたソーセージから、本日のスペシャル、そして野菜のソーセージもある。パイは、魚から野菜まで5種類から選べる。ステップ3は、ソース、グレービーを選ぶ。肉汁と野菜ストックで作る伝統的な味から、イーストエンドの定番の黄色いリカー(Liquor)や野菜だけのグレービーまで揃っている。
さて、オーダーだ。連れの英国人は、チーズとマスタード入りマッシュに本日のソーセージ(チョリソ)とオニオンのグレービーを選んだ(ソーセージのセットは£6.95。ソーセージは2本つくが1本£1.60で追加も可)私は、フィシュパイセット£7.95を注文。付け合わせには、アイリッシュ・スタイルのマッシュと黄色いソース“リカー”を試してみることにした。
待つこと5分。さすがに早い。英国のソーセージに馴染めない人も多いが、手を抜かずに作り正しく焼けばうまい食材だと思う。さて、連れの頼んだチョリソスソーセージは、味がしっかりとしていてなかなかうまい。マシュは、マスタードがたっぷりでソーセージにはピッタリ。オニオンのグレービーは選択として悪くない。ポーションは小さく見えるが、マッシュがお腹にたまるので、満腹になるなー。
フィッシュパイは、中のスモークされた魚の味も堪能でき、手作りの感じがいい。アイリッシュ・スタイルのマシュには、バターとミルク、チェダーチーズ、スプリングオニオンが入っている。食べ始めはいいが、段々重くなるマシュなのでプレーンがおすすめかな?興味深い黄色いグレービー“リカー”は、なんと酸っぱい。パセリベースなのでその味もする。この酸味のあるソース、なんだかクセになりそう。
よーし、伝統的なデザートも試してみるぞ。英国ではデザートをプディングと呼ぶ。これは蒸しパンのようなもので、たっぷりのカスタードクリームをかけて食べるのが英国風。
頼んだのは、ジンシャープティング+アイスクリーム(Ginger Pudding £4.50)。ショウガの味と甘さとうまくマッチしてうまい。ご機嫌の一品。
モダンで創作的な料理が多いロンドンのレストラン事情だが、伝統的な料理には、懐かしさと暖かさがあるのか、20代後半からの英国人がうれしそうに食べているのが印象的だった。
朝食からディナーまで伝統的な英国食として、また、プティングとコーヒーをいただくカフェとしても利用できそうだな。
2007年2月取材 |