エドワード・マウンテン卿と彼の率いる探検隊がネス湖を初捜索して、今年で90周年を迎える。それを記念し、5月30日から6月2日の4日間にわたって、新たな捜索が試みられる。スカイニュース(オンライン版)が伝えた。


NASAの助けが得られれば!

1934年のエドワード卿による初捜索以来、これまでに1,156件にのぼるネッシー目撃情報が記録されてきた。

ネス湖モンスター、通称「ネッシー」の新たな探索にNASAへの協力要請を出しているのは「ネス湖センター」。当センターのエイミー・トッド氏は言う。「世界中のネッシーハンターたちがSNSの力を駆使して、私たちの捜索に協力してくれるようNASAに働きかけてくれることを期待しています。専門知識を得ることで、長年にわたる私たちの疑問に対する答えを見つけることができるかもしれません。NASAの高度な技術を使って専門家たちにぜひともネス湖の走査をしていただきたい。」


ネッシーハンターたちはボランティアとして参加

捜索に協力を申し出ているボランティアたちは、湖の表面に現れる小さな変化に目を配ることになるという。ネス湖まで来ることができなくても、「Visit Inverness Lock Ness」のウェブサイトのライブ配信を通して参加することができる。ボランティアたちは、水面の変化の見つけ方のコツや、見つけた場合の記録の取り方について事前に説明を受ける。


探索期間中には各種のイベントも

1970年代から80年代にかけてピークを迎えたネッシー探しを追ったドキュメンタリー映画も放送され、その映画を監督したジョン・マックラヴァティー氏との質疑応答がある他、目撃者証言を交え、ネス湖捜索隊のリサーチャー、アラン・マッケナ氏とライブ討論会も行われる。

また、幸運なネッシーハンターたちは、マッケナ氏および「ネス湖プロジェクト」のディープスキャン号船長であるアリステア・マティソン氏と共にボートに乗り、18メートルの水中聴音機を使って湖の深部から発せられるミステリアスなエコー音を聴くこともできるそうだ。


2023年にも行われた大規模なネッシーの捜索

ネス湖センターのジェネラル・マネジャー、ポール・ニクソン氏によれば、昨年行われた大規模捜索は世界の注目を集め、米国、カナダ、フランス、イタリアをはじめ、遠くは日本からも参加者が集まったという。

「捜索では、湖の奥深くから説明のつかないノイズを聴き、いくつかの目撃情報も寄せられました。今年こそは、この捉えどころのないネス湖の怪物について明らかにしたいと思っています。

そのためにも、ネッシーハンターたちや専門家の手助けを得て、過去最大の捜索としたい。最新の機材をご提供いただき、湖のミステリーを解き明かしたい。」


想像以上に巨大なネス湖

ネス湖はイギリスで最もよく知られた湖だが、実はかなりの大きさだ(だからこそ巨大な怪物も隠れていられるのだろう!)。湖の一番深いポイントは、同じくスコットランドにあるモラー湖に続いて2番目の深さとなる227メートル。これはサンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジの高さに匹敵する。

また、その体積はスコットランド一で、イングランドとウェールズのすべての湖を足した量よりも大きいそうだ。


果たして、巨大恐竜ネッシーが見つかる可能性はあるのか?

多くの人は、「ネッシーはデマ情報に基づいた嘘の産物」と、長年にわたってその存在を否定してきた。狼男やゾンビの存在なら嘘とわかっていても無視することができるが、ネッシーについてはどうだろう?

実は、ニュージーランドのオタゴ大学教授であるニール・ジェメル教授率いるインターナショナルチームが、2019年にDNA調査を行っていた。

チームはネス湖のさまざまな深さのポイントから250個のサンプルを採取し、これらのサンプルから約5億の配列を分析するのに十分なDNAを抽出。皮膚、鱗、羽毛、毛皮、糞、尿など、湖の生物が残した小さな残骸などを特定し、水域に生息するすべてのものの詳細なリストを確立した。

しかし、当のジェメル教授は完全な調査結果報告が出される前から「ネス湖ではこれまでにネッシーらしきものの目撃報告が1,000件以上あり、それだけで怪物がいるという概念を広めているだけではないだろうか」と揶揄していた。


ネス湖から採取したDNAサンプルの研究結果

正式な調査結果は、ネス湖センターで開かれたメディア会見にて行われた。会場は満員だった。

過去に発表された理論の中には、「怪物」はジュラ紀の爬虫類、あるいは首長竜などの爬虫類の集団ではないかというものがあった。しかし今回の調査で分析された環境DNA配列データに、首長竜と遠隔的にでも繋がる生物の証拠は見つからず、この考えは成り立たないとの結論となった。

では、ジュラ紀の爬虫類以外の可能性は…?
研究チームは、巨大ナマズ、巨大チョウザメ、巨大ウナギではないかという過去の有力な理論も検証した。

「我々が集めたサンプリングによると、ネス湖にはサメやナマズのDNAは存在していない。チョウザメがいるという証拠も見つからなかった。

今回得られた環境DNAデータだけでは反論できない残りの理論は、ネッシーと思われている生物は非常に大きなウナギの可能性があるということ。ネス湖には大量のウナギのDNAが存在しており、サンプルを採取したほぼすべての場所でウナギのDNAが検出された。しかしそれは果たしてモンスターウナギのものだろうか?我々のデータではウナギの大きさまでは明らかにできないが、採取された膨大な量の物質から、ネス湖に巨大ウナギが存在する可能性を否定することはできない。」


とどのつまりは…

DNAを使った調査は画期的なものであったが、ネッシーハンターたちが期待した答えは得られなかった。しかし、多くの人が恐竜に似ていると信じているこの生き物への永続的な魅力は依然として国家経済にとって数百万ドルの価値があると、スコットランド観光局は述べている。

毎年何十万人もの観光客がネス湖とその近隣の村、ドラムナドロキットを訪れる。そしてその多くの人たちは怪物を一目見たいと願い、今日こそがXデーかもしれないと期待するのだ。