Il Bordello(イル・ボルデロ)
小ぢんまりとした本格リストランテ
タワーブリッジより川沿いを東に歩いて20分、閑静なWappingの住宅街の中に突如、食欲をそそるニンニクの香りに包まれた賑やかなイタリアンレストラン「Il Bordello」が現れる。平日だというのに、タマラ・ド・レンピッカの絵に飾られた低い天井の店内は、ほぼ満席である。予約しておいて良かった。
こぢんまりとしたテーブルに案内され、メニューに目を通す。全体的に忠実なイタリアンといった感じだ。まずは、定番の「ブルスケッタ」(£7.95)「プロシュートハムとメロン」(£7.95)をスターターに。ニンニクのしっかり効いた「ブルスケッタ」は、フレッシュなトマトと質のよいオリーブオイル、適度な塩気が最高。最小限の味付けで、素材の旨味を最大限に引き出している。プロシュートハムはしっかり熟成された濃厚なものを使用しており、メロンとの相性も抜群。
しかし、我々は重大なミスを犯した。両方ともに付け合わせにオリーブと大量のルッコラサラダが添えられており、とにかく、一皿の量が多いのだ。日本人の胃には、前菜だけでメインほどの重量があるため、一皿を二人でシェアするのが丁度よいかも・・・。
既に満腹になった感は否めないが、メインを注文。「トマトのスパイシーオイルパスタ」(£8.25)と「スパゲッティ・ボロネーゼ」(£8.75)、サイドサラダをオーダーする。待っている間にも、周りのテーブルに次々と料理が運ばれてくるが、「あれで、一人前・・・?」というようなボリューム。オイルパスタは、見た目もさることながら、味も至ってシンプル。前述の前菜もそうだが、やはり良質の素材を出来るだけ手を加えずに提供しているようだ。思ったよりさっぱりとしており、ぺろりと平らげてしまった。定番中の定番「ボロネーゼ」は、ジューシーな肉汁としっかりとしたトマトが絶妙に絡みあい、絶品。パスタのゆで加減もさすがといったところ。パルメザンチーズを削ってもらうと、さらに風味が引き立ち、ますます食が進む。食べ残したら持ち帰りも出来るということだったが、そんな心配もなく、二人で完食。
さすがにデザートは別腹の余地すらなかったので、イタリアのレモンリキュール「リモンチェッロ」をデザート代わりにした。
今回はパスタを食したが、メニューは4ページにわたり、ピザや肉・魚料理などバリエーション豊富。また、このレストランの特徴は、ウェイターが全員40代から50代の男性だということ。テキパキと客をさばきながらも話術もお見事で、終始心地よく食事が出来た。ワインのおすすめや料理に関する質問もきちんと細部まで答えてくれ、とても好印象。友達や家族と大勢で訪れて、わいわいと楽しむことができるレストランではないだろうか。
(ゆき)
2010年10月取材