一ヶ月にもわたって開催されてきた欧州サッカーの祭典「EURO2020」も、イタリアの劇的優勝で幕を閉じた。

その対戦相手となった我らがイングランド。

55年ぶりの決勝進出、しかも地元開催ということもあり、舞台となったロンドンのウェンブリースタジアムには7万人もの観客の入場が許可され、飛沫飛びまくりの中試合が行われた。

日本ではオリンピックが無観客となったようだが、その真逆を行くこの寛容すぎる政策に、国民は一喜一憂したのである。

そんな寛容すぎる大英帝国の小学校から、試合前日、こんな手紙が送られてきたところもある。

要約すると、

「試合翌日の登校時間は、通常8:40のところ、10時半まででOKです。

イングランド55年ぶりの決勝戦、国歌の意義やプライド、立ち直る力、そして、失望について子と語り合いましょう。

これは絶好の学びの機会なのです」

以上のような内容。

「失望について語り合おう」

という敗戦フラグが入っているのが実にイングランドらしいのだが、イングランドはそのフラグを覆すことができず、PK戦の末、55年ぶりの戴冠を逃してしまったのだった。

しかしPK最後のキッカーとなったのが、アーセナルの超新星、若干19歳のブカヨ・サカ。間接的にではあるが、彼が外してしまったことによる敗戦である。

その後PKを外した3人の黒人選手のSNSには人種差別的な投稿が相次いだ。

これもフーリガンの本場イングランドと言ってしまえば実にイングランドらしいとため息しか出ないのだが、

その一方で、Sky Sportsの選手評ではブカヨ・サカに満点となる10を付けた。

その理由は、

「チームをここまで導き、そしてこの世で想像しうる限りの、最大のプレッシャーの中、代表歴の浅い、未だ10代の若者がそこに立ったという事実を、我々は最大級の賛辞を持って認めなければならない」

「失望について語り合おう」

期せずして試合後の人種差別が失望のメインとなってしまったが、この選手評が、本来の道しるべとなれば幸いである。

ところで、デルタ株、EURO、ウィンブルドン等の大スポーツイベントもあり、一日のコロナ感染者数がゆうに30,000人を突破したイギリス。

イングランドの本当の勝負はこれからである。