イギリス人にとっての郷愁の味 トップ10
まだ幼く無邪気だったあの頃…。物価高やカロリー摂取量の心配など全く意に介することなく、遊ぶことが仕事のような毎日を送っていたあの頃。ほんのわずかの時間でもいい、何もかも忘れてあの頃に戻りたい…と感じることは誰にでもあるだろう。
ここ3年ほど、イギリスでレトロフードのインターネット検索数が急増している理由はそんなところにあるのかもしれない。
この程、イギリスの成人2,000人を対象に、「幼少期を想起させる食べ物」について行ったアンケートの結果が発表された。
幼少期を思い起こさせる食べ物
それはそうだろうと多くのイギリス人が納得したという堂々の第1位は、「ゼリー」。プルプルとふるえるゼリーといえば幼少期のティーパーティの主役。子どもの頃の思い出と強い関連を持つ食べ物の1番にこれをあげた人は42%にも上った。
続いて「フィッシュフィンガーズ」と「エッグ&ソルジャーズ」が同等2位。フィッシュフィンガーズとは、大人の指サイズ程の大きさの白身魚フライで、スーパーの冷凍食品売り場の主力商品の1つだ。
「エッグ&ソルジャーズ」は、細長く切ったカリカリパンにバターを塗り、半熟よりも緩めにボイルした卵に付けて食べるものだ。ゆで卵はエッグカップに入れ、殻は卵の上の部分だけナイフで切り落とすのがポイント。
お菓子や甘味は?
イギリス人の多くが、どんなデザートにも付け合わせたいという「カスタード」は総合7位にラインクインした。すでに十分過ぎるほど甘いケーキやタルトタタン、パイなどに、ジャグからドボドボとカスタードをかけているイギリス人を目撃して、見てはいけないものを見てしまったような気持ちになってしまった人も少なくないだろう。
しかし面白いことに、学校の給食に出た(出たのか!)カスタードはもう2度と口にしたくないという人も少なくなかった。飲み込むのが難しいほどダマがあったのがその主な理由だという。
その他、本当に食べても大丈夫なのかと心配になる程カラフルな「パーティー・リングス」も人気だった。これは色とりどりのアイシングが施されたビスケットで、真ん中に穴のあいたシェイプが特徴。名称にパーティーとついているだけあって、子どもが集まるときには欠かせないお菓子の代表だ。独特の強い香りがあり、その匂いを嗅いだだけですぐ子ども時代にワープできてしまうのだそう。
郷愁の味は単に思い出に浸るためだけのものではない!
ノスタルジックな気持ちにさせてくれる食事やお菓子をシェアすることで、家族や親しい人たちとより心が近づくと、回答者の約半数が答えている。うち約6割があげるその理由は、食べ物にまつわる懐かしい思い出を共有し語り合えるからということだ。
また5人に1人は、郷愁の味を楽しむことで日々の心配事が軽減し、気持ちが向上すると回答した。
ネットで頻繁に検索される郷愁の味
イギリスの主要スーパーマーケットの1つであるセインズベリーズによると、昨年1年だけで、「ナポリタンアイスクリーム(三色アイス)」と「バッテンバーグケーキ」を検索キーワードとした回数が、それぞれ218%増、93%増と大幅に上昇した。
心理学のエキスパート、ジョー・ヘミング氏によれば、特定の食べ物に関連する過去のポジティブな経験は、快適さ・安心感・幸福感の強い感情を引き出すのだという。
氏は語る。「真にノスタルジックな味と認定するには、『良い気持ちにさせてくれる』『感傷に浸らせてくれる』『とてつもなく美味しい』の3つのうち少なくとも2つが当てはまらないとなりません。
「その感覚が私たちの脳内で化学反応を起こし、子どもの頃に初めて経験した感覚に似た多幸感を感じさせてくれるのです。
「郷愁の引き金となる要素のうち、味覚と嗅覚は最も強力なもので、我々が幸せで心地よかったときのことを瞬時に思い出させてくれます。」
なるほど、成人の約25%が子ども時代に大好きだった食べ物を今でも週に1度は食べていると答えているのも合点がいく。
イギリス人の郷愁の味トップ10
1. プルプルゼリー(42%)
2. エッグ&ソルジャーズ(34%)
2. フィッシュフィンガーズ(34%)
4. ホームメードのローストディナー(33%)
5. 缶入りビスケット(32%)
5. アイスクリーム(32%)
5. カスタード(32%)
8. アイスポップス(30%)
8. ジャム・サンドイッチ(30%)
10. ベイクド・ビーンズ(25%)
(おまけ)日本の場合は・・・? 子どもに人気の食べ物
子どもが好きなものといえば「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた昭和生まれと、平成に子どもだった世代とでは少々差があるようだ。(ぐるなび・インターネットによる調査)
昭和のトップ10
1. カレーライス(57.6%)
2. オムライス
2. ハンバーグ
4. 卵焼き
5. ラーメン
6. コロッケ
7. 寿司
8. すき焼き
9. トンカツ
10. 鳥の唐揚げ
平成のトップ10
1. カレーライス(34.8%)
2. 寿司
3. 鳥の唐揚げ
4. ハンバーグ
5. ラーメン
6. 焼肉
7. ポテトフライ
8. オムライス
9. ピザ
10. 刺身
昭和も平成も、トップ10にお菓子やデザート類が含まれていないのが日本の子どもの嗜好の特徴だろうか。
令和となった今、「(カツが乗ってなくても)カツカレー」と呼ばれ世界中でファンが増加中の日本のカレーだが、時代にかかわらず日本国内においても堂々の第1位だった。最初に日本にカレーを持ち込んだとされるイギリス海軍も、この結果にはびっくり仰天(かな)!