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July 25, 2010
イギリスのサービス業 Hの巻 2
*最後に素敵なイベントのお知らせがあります。
一脚買うのに随分苦労したが、やはりもうひとつ欲しくなった椅子。
しかし、またゲイ1やゲイ2に会うのが嫌だったので、(彼らは可愛いし、それなりに一生懸命対応してくれたが、なにぶん非効率である)駐車場のあるFロード店に車で買いに行った。
目的の椅子を見つけ、お喋りしている店員に助けを求め、この椅子が欲しい、今日持って帰りたい、と告げる。
「オーダーになります。7~10日かかります」
「そんな事言っても、もしかして在庫があるんじゃない~?」
と無理やりコンピュータをチェックさせると、やはり無いとの事。
1週間後にはホリデーに行く予定だったので7日~10日も待ちたくない。ホリデー後に受け取りに行ったら無かったことにされていそうだし。やはり在庫のあるトッテナム・コート・ロード店に戻った。
前回と同じ場所に同じ椅子がディスプレイされていたが、ゲイ1は見当たらなかった。
近くにいた女性店員に同じ事を聞き、同じ返事をされ、同じ様にコンピュータをチェックしてもらうと、
「あ、4つ在庫があります。今ウエアハウスに確認します」
と言われた。
彼女はゲイ1と違い、電話でウエアハウスに確認した。
「カスタマーが椅子を今日持って帰りたいと言っているんだけど・・・椅子の名前は・・はい?椅子はひとつもない?全部オーダーになる?」
ウエアハウスのいかつい兄ちゃんから、椅子の名前や商品番号も告げる前に「こんなところに椅子など一つも無い」と宣言されたようだった。椅子がひとつもない家具屋のウエアハウスってなんなんだよ。
「でも、コンピュータによると4つある筈だよね?」
「そうなんですけれど・・・あ、もしかしたら4つディスプレイされているのかも。上の階にいるマネージャーがいいと言ったら売ってもらえるかもしれません。でもその場合、ディスカウントはしませんけど」
でたー。客が「売ってください」と懇願して売っていただく、イギリス小売業の真骨頂。
パン一切れを買うために吹雪の中、長蛇の列に並ばなければならなかった旧ロシア政権下の人々に思いを馳せながら、上の階のマネージャーに
「不特定多数の誰のお尻が座ったかもわからない傷だらけのディスプレイ商品を、値下げなしで売ってください」
と頼みに行く。
メガネをかけた誠実そうなゲイ定員3(以下ゲイ3)に事情を話し、マネージャーに聞いてもらっている間に初老のカップルが同じ椅子を気に入った様子で見ていたのが気になったが、案の定ゲイ3は申し訳なさそうな顔で戻ってくると、
「やはり同じ椅子を欲しいお客さんがいて、たった今二脚売ってしまったんだ」
「そうなんだ。でもまだ二脚残っているはずだよね?現にそこにあるし。」
「この商品は製造中止になっていて、後からもっと欲しいと思ってももう買えないけどそれでもいい?」
「いいよ。」
「マネージャーに聞いてくる」
-10分経過ー
「ごめんね、マネージャーがこの椅子は売れないっていうんだ。」
「なんで?」
「このテーブルとコーディネートしてディスプレイしてあるから、ディスプレイのコーディネート上、コーディネートが不完全になるディスプレイはなんのかんの・・・・」
「でももう製造中止って言ったよね?もう売らない椅子をディスプレイする意味があるの?」
「意味が通らないって思うかもしれないけど、マネージャーが、ディスプレイがコーディネートでコーディネートがディスプレイだからディスプレイのバランスが崩れるとコーディネートがディスプレイで・・・・」
誠実そうなメガネゲイ3が申し訳なさそうに必死で言い訳するのを聞いているうちに、彼が可愛そうになってきたので
「いいよ、世の中には不思議な事がたくさんあるものね」
とその場を去った。
長々と書いたが、私はHの店員に文句を言いたいわけではない。彼らはそれなりに誠実に、一生懸命(注: British standardによる)対応してくれた。私が驚愕したのは、21世紀の今、こんなInefficientなビジネスのやり方をして、それでも尚人々の支持を受けるHの存在である。
スエーデン家具のIや、カタログショッピングのAの効率的なサービスに加え、アパレルメーカーや最近はM&Sまで家具市場に参入して競争は激化しているようだがそれでも淘汰されるどころか、支店数を増やしているようだもの。
大体、たかが椅子一脚買うのに7日~10日も待たなければならないって何なんだ。
偶然同じ頃、日本で買ったビデオカメラが壊れたので次の帰国時に修理してもらおうとメーカーのサービスを調べたが、家に引き取りに来てくれて、修理して、また家に届けてくれて通常5日間だそうだ。
精密機器を修理してデリバリーを2回が5日間でできるのに、なぜセンターに在庫があると分かっている椅子一脚を受け取るのに7~10日かかる。そしてもう一度足を運んで取りに来いだと。しかもデリバリーを頼んだら50ポンド。(ビデオカメラメーカーの引き取り&お届けサービスは1000円台)
つくづく、イギリスのアッパーミドルクラス文化っていうのはお気楽というか呑気というか、前時代的というか、いまだにこんな殿様商売が成り立っているというのが、久々にブログを更新するほど(エヘ)びっくりした出来事でした。
コンラン、いつまでもこんなやり方で済むと思うなよ。覚えてろよ。
皆さん、Hで買い物するのは「なんちゃって日本茶碗」位にしておいて、家具は買わない方がいいですよ。まあ大きな家具ならどうせデリバリーだからいいかもしれないけどね。
*一気にHの悪口を書いたので、埋め合わせにHの集客に協力するイベントを企画しました。
トッテナム・コート・ロード店にて、夏休みスタンプラリーを開催します。
店内で、本文のヒントをもとにゲイ1・ゲイ2・ゲイ3店員を見つけましょう。
全員見つけて3つスタンプを集めたら、「H特製・なんちゃってどんぶり」を貰えるかもしれません。
もし貰えなかったら、店員に連絡が行き届いていないためでしょう。
投稿者 lib : July 25, 2010 01:52 AM
コメント
えーなんでそんな会社がはびこるの?
商品の品質?
ブランド力??
分かんないわ。
おごれる者久しからず。
ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ・・・はずなのにね(笑)
投稿者 mayu : July 25, 2010 01:09 PM
それでは皆さん。 H に行き、「椅子を見に来たのでスタンプ下さい」 と頼みましょう。 次々と訪れる日本人、同じセリフ、でも、誰も何も買わない (どうせなかなか買えないみたいだし) 消費者の抗議行動、とも言えますね。 おーい、コンラン、聞いてるかい? スタンプ用意しておけよ。
投稿者 十貴川 洋子 : July 27, 2010 02:17 PM
mayuさま
コメントありがとうございます。
Hは日本にはなかったでしたかねえ?
Cショップはあるはずなんですけど。
投稿者 子育てママ : July 31, 2010 07:52 AM
洋子さん
どうも皆さん。お手間を取らせますが、皆でスタンプラリーに参加して、日本人の協調性を思い知らせましょう。そしてコンランが日本式の効率性と卓越したサービスを学ぶきっかけになってくれれば幸いです。
投稿者 子育てママ : July 31, 2010 07:55 AM
今年のロンドンのトレンドはこれで決まり! そうです、インテリアのスタンプラリー。 「欧米で大人気」のイベントです。 親切な店員さんとたっぷりおしゃべりしても、お気に入りの商品が手に入らない不思議な企画です。 これを逃す手はありませんよね? さあ、皆さん、ご一緒に!
投稿者 十貴川 洋子 : August 3, 2010 01:41 PM
久しぶりにのぞいたらH社の悪口がのってて感激です!うちも注文してたテーブルが入荷したので店にとりにこいって電話が入り出向くと、全然なーい、本当に電話いったんですかー?なんかの間違いでは?でもとにかく無いものは無いから、もう1回注文するー?とかきかれて驚愕。あの在庫コンピューターの数字ってあそこいっつもめちゃくちゃ。あーでも売却済みと書いた紙がはってあった家具をゲ○マネージャーがその場で売ってくれたことがあります。でもそれって…誰かがもうお金払ったのでは…と心配する私をよそに、いいよもっていってと店の外でタクシーまでとめてくれました。機嫌が良い日だったのかも彼…。H社で雑貨しか買ったことがない人は勝手になんとなく良いイメージをもってるかもしれないけど実態はひどい有様ですよね!!
P.S H社のオーナーはもうコンランではないはず…間違ってたらごめんなさい。でもアッパーミドルクラス文化的ビジネスすたいるっていうのよーく分かります!
投稿者 gadogado : August 20, 2010 12:31 PM
gadogadoさん、コメントありがとうございました!
「売却済み」の家具を売ってもらいましたか・・・素晴らしいサービスですね。さすがH。
ウィキってみたら、コンランはとっくの昔にHを手放していたんですね。ご指摘ありがとうございました。
コンラン卿(呼び捨て撤回)にはとんだ濡れ衣でした。ごめんよ、サー。
投稿者 子育てママ : September 8, 2010 04:37 PM